個人的な作品などというものは存在しない

「個人的な作品などというものは存在しない。ある個人の作品とは、文化の織物の内部で生産される結び目のようなものであって、その織物のなかに、個人は、浸っているのではなくて、<現れて>いるのである。個人とは、元来、この文化の織物のひとつの因子である。従って、作品とは、常に、集合的なものである。私が引用の問題に関心を持っているのは、そもそもそのような理由からである。」

ミシェル・ビュートル
M.Butor, L'Arc, 39, Aix-en-Provence, 1969 p.2