『大和魂』は遂に島帝国の民族精神を表現するに至った。

「『大和魂』は遂に島帝国の民族精神を表現するに至った。もし宗教なるものは、マシュー・アーノルドの定義したるごとく『情緒によって感動されたる道徳』に過ぎずとせば、武士道に勝りて宗教の列に加わるべき資格ある倫理体系は稀である。本居宜長が 敷島の大和心を人問わば 朝日に匂ふ山桜花 と詠じた時、彼は我が国民の無言の言をば表現したのである。」


新渡戸稲造(矢内原忠雄訳)
『武士道』、岩波文庫、1938、p.130