「靖国神社公式参拝問題のように、
国がどのように戦没者に対する態度を決定するかというがごとき問題の場合には、
主として議論の対象にしなければならないConstitutionとは、
文化・伝統・習俗の一切を包含した国の在り方そのものであって、
日本人がいかにこの国で生き、かつ死んでいったかということの積み重ね以外のものではあり得ない。
つまりこれは広い意味で、そして深い意味で、日本文化の問題なのです。
その文化の文脈の中で死者はどのように祭られ、生者は死者をいかに遇してきたか。
それがそのまま今日でも、滞りなく行われるのかということが、根本問題のはずではありませんか。」
江藤淳
『生者の視線と死者の視線』(1986)