スピノザは超越的な視点を想像的なものとして否定する

「…私はスピノザを別な意味で考えたいと思います。


スピノザは超越的な視点を想像的なものとして否定する。


しかし、それは内在的なシステムがすべてだということではない。


私たちの共通の友人である柄谷行人の強調するように、


われわれは、システムの中にありながら、超越論的反省によってそのことを意識することはできるし、


そのときだけシステムの外に――でなくとも境界に立つことができる、


というのがスピノザの本質的な論点ではなかったでしょうか。」

浅田彰「第2章 スラヴォイ・ジジェクとの対話」
『「歴史の終わり」と世紀末の世界』小学館 1994
p.57