彼らは、脅かされない安全な立場から発言している

ポスト構造主義者たちはやたら熱心に、


すべてのテクストは


―彼ら自身のテクストも含めて―


根本的両義性に囚われており、


相互テクスト的過程の「偏在」に溢れている、


と強調するが、そのなかに、


頑固な否定(フロイト的な意味でのVerneinung)の


兆候を認めないわけにはいかない。


脱中心的なテクスト過程から


脅かされない安全な立場から発言しているというのが、


ほとんど見え透いている。


だからポスト構造主義的な文学主義は


究極的には見せかけ(アフェクテッド)なのだ。」

スラヴォイ・ジジェク
イデオロギーの崇高な対象』河出書房新社 2000 p.236