小説の主脳は人情なり、世態風俗これに次ぐ。のだ

「小説の主脳は人情なり、世態風俗これに次ぐ。人情とはいかなるものをいうや。曰く、人情とは人間の情慾にて、いわゆる百八煩悩これなり。それ人間は情慾の動物なれば、いかなる賢人、善者なりとて、いまだ情慾を有ぬは稀れなり。」
坪内逍遥
小説神髄』「小説の主眼」書き出し