この先は、もうけっして書かれたりすることはない

「足音が近づいてくる……


だが、


この先は、


もうけっして


書かれたりすることはないだろう。


書くという行為は、


たぶん、


何事も起こらなかった場合だけに


必要なこと


なのである。」

安部公房
『他人の顔』
末尾 むすび