一橋公には、意志の強さ、剛直さが欠けていた。

「一橋公には、日本民族を偉大なものにしている意志の強さ、剛直さが欠けていた。そして、好機到来の折に勝利を博することもできず、また、一門の最後の人として、家臣や全日本の目に自己を失った名誉の回復を図るべく舞台から去ることが彼に残された唯一の道となっても、死を決しようとはしなかった。穏やかに評して、彼は決定的瞬間に至っても、結局はその本意を実践に移すだけの勇気のない奸物の印象を与える。」

マックス・フォン・ブラント
『ドイツ公使の見た明治維新