その目を世阿弥は「離見の見」という言葉で表現。

「…老境に達した世阿弥


「花と、面白きと、珍しきと、


これ三つは同じ心なり」


とも言っている。


ここでは、アウラ


演者から発出するものというより、


観客に感受されるもの


として捉えられている。


つまり、


よい能を最終的に実現するのは


よい観客であり、


よい観客によい能を


実現させることのできる演者が


よい演者ということになろう。


そのためには演者は


演者であると同時に、


観客として


自分の演技を見る目を


持たなければならない。


その目を世阿弥


「離見の見」


という驚くべき言葉で


表現している。」

高岡一弥・高橋睦郎・森田拾史郎『能』ピエ・ブックス p.87 2004