きのう、わたしは三十二歳になりました。

「きのう、わたしは三十二歳になりました。


兵庫県の尼崎から、この奥能登の曾々木という


海辺の町に嫁いできて丸三年が過ぎたから、


あんたと死に別れて、かれこれ七年にもなるんです。」


宮本輝幻の光