言葉の生命は、一つの口から別の口へ

「言葉は物質から出来ているものではなく、むしろ、対話風に相互に作用し合う、永遠に流動し永遠に不安定な媒体なのである。それは決して単一の意識とか単一の声の方に強く引かれたりはしない。言葉の生命は、一つの口から別の口への、一つの文脈から別の文脈への、一つの社会集合体から別の社会集合体への、一つの世代から別の世代への転移のうちに含まれる。この過程で言葉は、それ独自の道筋を忘れることは決してないし、言葉が入り込んでしまっている具体的な文脈から完全に自由になることも出来ない。」
ミハイル・バフチン 1984 201