2013-05-05から1日間の記事一覧

低俗であつても、結果に於て最も低俗ならざる深さ高さ大いさに達することができる

「蛇足ながら最後に一言つけ加へておくと、私は「真実らしさ」の「らしさ」に最も多くの期待をつなぐものであつて、それ自体として真実である世界は、それがすでに一つの停止であり終りであることからも、興味がもてない。「らしさ」はあらゆる可能であり、…

読者と協力して、共々言外のところに新らたな意味を感じ当てたい

「私は文章を書いてゐて、断定的な言ひ方をするのが甚だ気がかりの場合が多い。心理の説明なぞの場合が殊に然うで、断定的に言ひきつてしまふと、忽ち真実を掴み損ねたやうな疑ひに落ちこんでしまふ。そこで私は、彼はかう考へた、と書くかはりに、かう考へ…

自然の心にささやく悲哀もまた歌うべきであろう

「少年の歓喜が詩であるならば、少年の悲哀もまた詩である。自然の心に宿る歓喜にしてもし歌うべくんば、自然の心にささやく悲哀もまた歌うべきであろう。 」 「少年の悲哀」 国木田独歩