2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ビンスワンガー

「…眠りは見せかけの死だと考える自然主義的伝統ほど誤ったものはあるまい。夢がいわば実存へ向かっての生の炸裂であり、夢はこの光のもとでおのれの死すべき運命を見出すのであってみれば、むしろ問題は夢そのものの弁証法にあることになろう。」 ビンスワ…

ビンスワンガー

「夢の主体ないしは夢における一人称は夢そのものであり、夢全体なのだ。夢の中では、あらゆるものが―物や動物、空虚な空間、この空間の幻影を満たす遠くにある奇妙な事物でさえもが―「私は」と語る。夢、それは荒涼たる空間のうちにうがたれ、混沌のうちに…

ビンスワンガー

「夢は想像力の一様態などではなく、想像力の可能性の第一条件なのである。」 ビンスワンガー『夢と実存』p.92

聖書

聖書エジプトの王の見た夢の意味を、イスラエル人のヨセフが鮮やかに解いた話 ヨセフはエジプト人に奴隷として売られてしまったが、夢を解き明かす力に恵まれていたために、ファラオに抜擢されて、ファラオの夢の意味を明らかにした(創世記四十章)。ファラ…

ホメロス

ペネロペーアの夢の中で一羽の鷲が鵞鳥の群れに向かって舞い降りてその全部を屠り殺す。詩人と読者は、これが夢みる女性のこころのなかで起こった主観的現象であるとは考えなかった。これはオデュッセウスによる求婚者たちの殺害を指示している。 ビンスワン…

エウリピデス

牝鹿に襲いかかる狼の夢(『オデュッセイア』の夢と類似) エウリピデス『ヘクーバ』 ビンスワンガー『夢と実存』p.141

アイスキュロス

アイスキュロス『ペルシャ女』夢に引きつづく神託

ルクレティウス

昼の体験と夢の体験の現実的関連 ルクレティウス『事物の本性について』

ペトロニウス

近代の夢学説の先取り。「じつは各自がみずから創るのである」 ペトロニウス

ヘラクレイトス

「目覚めている人間は、認識の世界に生きている。だが、眠っている人間は、おのれに固有な世界に向けられていたのだ。」 ヘラクレイトス ビンスワンガー「ヘラクレイトスの人間理解」『現象学的人間学』

アウグスティヌス

夢の中に回帰する過去のマニ教的人格や自らの懐疑論的性格に出会い、 夢見る人に道徳的責任が問えるか、あるいは夢という知覚的世界に真理の存在を問題とし得るか アウグスティヌス

クリュシッポス

夢とその個々の意味のうちに、世界の普遍的連鎖と、世界の統一をかたちづくり、その一つ一つの断片を同一の霊的な炎で生気づけようと協力する共感の効果徒を認めていた。 クリュシッポス(前280−207)ギリシャの哲学者ストア派第3代

ヤンブリコス

夕方か暁か他事の夢だけに価値がある ヤンブリコス(250−330)新プラトン派でシリア派の創設者

カンパネルラ

普遍的凝集の原理である世界霊が、人間にそのさまざまな本能と欲望と夢とをまったく同時に吹きこむカンパネルラ

キケロ

「夢みる者にとってはなに一つ重要なことはない」詩作された夢を絶えず引用する弟クイントスの口を借りて「それが詩人によって創作されたものであっても、普通の夢とたいした隔たりはない」 キケロ

プラトン

「夢は倫理的内容のまったき露呈であり、むき出しにされた心である。 夢のこうした意味作用を述べている。」 プラトン『国家』第9巻

アリストテレス

「夢においては魂はおのれの肉体から解放され、宇宙のうちに入り込み、そこに埋没し、まるで水に溶け込むように宇宙の動きと混じりあうのである」 アリストテレス「夢について」全集6巻

エルヴェ・ド・サン・ドニ

夜を昼に還元することなく夜のままに生き抜いていこうとする夢操作の研究。人間は文明の発展に伴い、夜に火を持ち込み昼を肥大化させ夜を細らせたが、夜の中で自己実現を図り夢を夢のままに生きていこうとした。夜の語るところに耳を貸そうとした。→ユングの…

坂部恵

カントはスウェーデンボルグの記述を肯定すると同時に、それを肯定している自分を嘲笑するという両義的なスタイル。決定不能性に自らを追い込むようなスタイル。カントは懐疑的にしか夢を語りえなかった。あるレベルの言説をメタレベルで否定し、さらにそれ…

シェリング

「健康な人の見る夢は暁方の夢だ」 シェリング『全集』ヴァイス編第1巻p.657

スピノザ

スピノザ『神学、政治学』預言者の夢の問題を提起。 「夢における、前兆と不思議な警告という二種類の想像を区別した。 一つは、身体のみに左右される想像、つまり体質や気分の変動から 生じるものであり、もう一つは、悟性の諸観念に感覚的な肉づけを 与え…

ミシェル・フーコー

「スピノザは、想像と超越の関係という古くからの重要な主題を立て直す。…夢は、…内容が超越的存在としての人間を指示する、特殊な形式の経験なのである。つまり、想像的なものとは超越性の記号であり、夢は想像的なものを記号としておこなわれるこの超越性…

シェリング

「世界が夢となり、夢が世界となる。信じていれば、その出来事が彼方から近づいてくるのを見ることができるだろう」 シェリング『全集』第4巻p.217

カール・グスタフ・ユング

ユングは晩年、アイデンティティをめぐる興味深い夢を見ている。夢の中で、彼は山歩きをしている。ふと見ると、山腹に社がある。中に入ってみると、祭壇には聖像がなくただ花が生けてある。気がつくと、中ではヨガの行者が瞑想にふけっている。気になって行…

タイラー

タイラーの仮説未開人が今は亡き親や兄弟などを夢を見たときにそれらのイメージを死後も存続している霊の現われであるととらえたところから霊に対する信仰ははじまったという。したがって、夢の体験は霊に対する信仰の基盤をなしていると考えることができる。

西郷信綱

「古代にあっては夢はたんに自然的に見られるだけでなく祭式的に乞われたのであり、しかも古代人はこの後者の方をいっそう大事としていた」 西郷信綱

『親鸞夢記』

「行者宿報にて設(たと)ひ女犯すとも 我れ玉女と成りて犯せられむ 一生の間、能(よ)く荘厳して 臨終に引導して極楽に生ぜしめむ」『親鸞夢記』

マルティン・ブーバー

人間の言葉でいちばん基本的なのは「我」と「汝」である。「私」と「あなた」、「ぼく」と「君」という関係こそが、人間のいちばんの基本である。 マルティン・ブーバー

中沢新一

「パスカルは、旅を好まなかった。…「人間の精神の成熟とは、同じ部屋のなかでじっとしていて、そこで落ち着いて、充実していられることをさす」…音楽を聞いていると、人の肉体は移動しないが、その精神は音によって、「旅」をしている。音楽は時間の軸にそ…

中沢新一

「…広告は宗教に憧れても、あるところで止まってしまう…広告がある深さより先にはどうして行かないかというと、そこにはパロディが出てくるからだと思います。パロディというのは、深みをストップさせる良識の行為です。パロディが出てくると笑っちゃうでし…