我々はただ存在しているだけだった。呼吸をしているだけだった

「我々はこの国の現在と未来を憂いている。我々以外の誰が、心の底からこの国について考えているだろう。誰もおらんよ。なにしろ、我々はこの国と共に生まれこの国と共に育ったようなものだからな。っていうか、この国より古いといってもいいんじゃないかね。なにも口出ししようというんじゃないんです。そういうのは家風に合わん。爺さんがよくいってたけど我々は存在することに意義があるんだ。というか存在し続けることに。ほんとうのところ、歴史上、ほとんどの期間、我々はただ存在しているだけだった。呼吸をしているだけだった。」

高橋源一郎
「なんでも政治的に受けとればいいというわけではない」冒頭書き出し p.61

編集長 東浩紀「思想地図beta3」2012.7