木曾路はすべて山の中である。



 
「木曾路はすべて山の中である。あるところは岨づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに臨む木曾川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。」
 
 
島崎藤村『夜明け前』第一部(上)冒頭書き出しp.7