つまり、文学は概念ではない。

「明治以後の日本文学を毒してきたものは


ヨーロッパから輸入した「文学」という観念の繁殖と、


それに反比例する文学の実体の貧困化を


激しく攻撃してきた。


つまり、文学は概念ではない。


色も味もある実質をもった作品が


文学だというのである。」

篠田一士
吉田健一論』筑摩書房 1981 p.57