熱狂者の興奮は、「燃える氷」である。フロム

「熱狂者はうつろであり、死んでおり、抑圧されているが、抑圧と内面的死の状態を補うために、彼は、国家であれ、政党であれ、観念であれ、教会であれ、あるいは神であれ、一つの偶像を選ぶ。彼はこの偶像を絶対的なものにして、絶対的な仕方でそれに服従する。こうすることによって彼の生命は意味をもち、また彼はその選ばれた偶像を崇拝することのうちに興奮を覚えるのである。だが、彼の興奮は生産的な関係状態における喜びからは生じない。それは内面的死のうえに築かれた強烈ではあるが、しかし冷やかな興奮であるし、ないしは、それを象徴的に説明しようと思うならば、それは「燃える氷」である。」

エーリッヒ・フロム(樺俊雄訳)
マルクスの人間観』?疎外訳注 第三文明社 レグルス文庫86 p.87