故に私はニーチェを讃美する。解脱に達した人として。

「彼(ニーチェ)は殉教者を以て否認する。


―其の著作十二巻に亙って唯々一の論戦あるのみである。


試みに此を開けば、何処を読むも頁毎に皆同様である。


感激だけが新たになり、病気が此を授ける。


少しも平静がない。


彼は絶えず憤怒と熱情とを漲らせる。


プロテスタンティスムは此処に達すべきだったのか。


―私はそう信ずる。


―其故に私は彼を讃美する。


―全き解脱に達した人として。」

アンドレ・ジイド

ニーチェに関する論説で。