彼女はかたくとざしていた唇をひらいた。byラディゲ

「フランソワの言葉は、


野生の花を贈られたように、


彼女をさわやかにした。


彼女は鼻孔をひろげて


深く呼吸した。


彼女はかたくとざしていた唇をひらいた。


二人は田舎の話をした。」

レイモン・ラディゲ(生島遼一訳)
ドルジェル伯の舞踏会
新潮文庫 p.54 昭和28年