ダヴィデ神殿よりも天岩戸神社により深い感動を覚えた
「私は一九八五年にはじめてイスラエルとキリスト教の聖地を訪れました。それから一年して、一九八六年に九州へ参りました。九州で訪れたのは、日本のもっとも古い神話の舞台とされている所です。私は、自分の育った文化から言っても、自分の生まれから言っても、九州よりもイスラエルと聖地パレスチナの方に感動するはずです。ところが実際はまったく逆でした。ダヴィデの神殿の跡と考えられる場所や、ベツレヘムの洞窟や、キリストの聖墓や、ラザロの墓よりも、ニニギノミコトが天下った霧島の山や、オオヒルメムチすなわちアマテラスオオミカミが身を隠した洞窟の前にある天岩戸神社のほうに、私はより深い感動を覚えたのです。」
クロード・レヴィ=ストロース 第一回国際研究集会の基調講演より