私の親戚に一軒だけ東北弁の家がある。安岡章太郎

「私の親戚に


一軒だけ東北弁の家がある。


私のところは、


父の家も母の家も高知県郷士で、


先祖代々土佐に住みついてきたから、


親戚といへば


どんな遠縁の人でも、


みんな土佐言葉か、


多少とも高知訛りの


標準語かである。」

安岡章太郎
『流離譚』冒頭書き出し 新潮社 昭和56年