存在するだけで義務を負わせられるべきものなのか?

「それでも、まだ私には信じることができないのだ……人間はただ、存在するというだけで、もう義務を負わせられるべきものなのか?……そうかもしれないとも思う、親子喧嘩で裁くのはいつも子供のほうにきまっている……たぶん、意図のいかんにかかわらず、つくった者が、つくりだされた者に裁かれるというのが、現実の法則なのであろう……ドアの向うで、足音がとまる。」

安部公房
『第四間氷期
末尾 むすび