小津安二郎監督は例によって淡々と描いている。
子どもたちを訪ねて久しぶりに尾道から上京する。
病院をやっている長男(山村聡)も
美容院経営の長女(杉村春子)も、
見た眼ほど暮し向きは楽ではない。
二人とも両親を歓待しつつもてあまし気味。
二人は両親を体よく熱海に湯治に行かせる。
誰よりも老夫婦に親身だったのは
死んだ次男の嫁(原節子)だった。
尾道に帰ってから母が死ぬ。
子どもたちは一堂に会するが、すぐ去っていく。
原節子も自分の将来を考えながら汽車に乗る。
みな善意で、
大声をたてるわけでもなく、
それでいて人生にありがちな
何がしかの行き違いを、
小津安二郎監督は例によって
淡々と描いている。」
双葉十三郎
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