壊れたレーニン像を組み立て直そう

「ようやく私たちは、レーニンの思想について、話し出すことができるようになった。共産主義思想の現実化と言われたもの、レーニン主義を体現するといわれてきたもののすべてが、いまや解体した。器が壊れたのだ。だが、そのとき、器の破壊の瞬間に、そのなかからとびさったものを、私たちは見失うべきではない。壊れたレーニン像を組み立て直そうなどとしてはいけない。私たちは、器が破壊されたことに、よろこびを見出さなくてはならない。そのとき、空中にとびたった、素早い何ものかをつかまえ、それに別の形態をあたえるのだ」
中沢新一『はじまりのレーニン岩波書店