ミハイル・バフチン

「それぞれに独立して互いに融け合うことのない


あまたの声と意識、それぞれがれっきとした


価値を持つ声たちによる真のポリフォニーこそが、


ドストエフスキーの小説の本質的な特徴なのである。


彼の作品の中で起こっていることは、


複数の個性や運命が単一の作者の意識の光に照らされた


単一の客観的な世界の中で展開されてゆくといったことではない。


そうではなくて、ここではまさに、それぞれの世界を持った


複数の対等な意識が、各自の独立性を保ったまま、


何らかの事件というまとまりの中に織り込まれてゆくのである」

ミハイル・バフチン
ドストエフスキー詩学
第一章 ドストエフスキーポリフォニー小説および従来の批評におけるその解釈

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